男「ふぁぁ…今日はいい天気だぁ…こんないい天気の日は、文章に脂がのる感じがするなぁ…」
女「おはよう。今日もふにゃふにゃした顔しているな。文字書き」
男「おやぁ?君は絵描きの…君もいい天気につられて、散歩してるクチかな?」
女「まあ、そんなところだな」
男「そーだ。公園まで一緒に歩かない?一人散歩もいいけれど、一緒に歩いた方が楽しいよ?」
女「ふむ…いいだろう。一緒に歩くか」
…少し一緒に歩く…
男「そーいえば、君、今度のイラストの大会に出るんだって?」
女「ああ。私としてはこれを足掛かりに、名を売りたいところだな」
男「そっかぁ…君の絵は個性的で好きだよ?今度、俺の小説の挿絵、書いてくれないかな?」
女「ふぅむ…いいだろう。だが、一つ条件がある」
男「条件?」
女「じつは……その、なんだ。私は今、顔を思い浮かべるだけで、胸が苦しくなる相手がいる」
男「…ほうほう」
女「最近、その相手と一緒にいたいと強く思うようになってきた。どうやら、私は恋をしているらしい」
男「青春だね。いいなぁ…そんな相手がいるなんて」
女「その男に、恋文をしたためたいのだが…なにぶん、私は文章のほうはさっぱりだ」
男「あー、君の文章は…一度、君の絵の紹介文を見たけど…擁護できないなぁ」
女「だ、だから…お前に、その相手への恋文を書いてほしいのだ。恋文の、代筆を頼みたい」
男「いいよー」
女「本当か!」
男「じゃあさ、そのお相手さんの情報、教えてくれる?」
女「ああ、そいつはな、いつも柔らかく、温かい表情をしている。そして、男にしては細い指で、素晴らしい作品を生む」
男「へぇ、そのお相手さんもクリエイターなんだ」
女「でな。猫が好きで、捨て猫をほってはおけなくて、大きな屋敷は猫屋敷になってる変わり者だ」
男「へー、親近感がわくな」
女「そして、そして……私の絵を、初めて褒めてくれた人…なんだ」
男「へぇ、やっぱり君のみそめた人は、良い目をしているんだね。君の作品の素晴らしさを見抜くなんて」
女「そんなアイツに、恋文を書いてほしい…すまないが、頼んだ!」
男「うん、わかった……って、走っていっちゃったよ…でも、絵描きちゃんに春が来たかぁ…なんか、寂しいな…」
…数日後…
男「やあ、絵描きちゃん。恋文、書けたよ」
女「本当か!見せてくれ…早く!」
男「急かさない急かさない…はい」
女「これが…あいつへの恋文…」
男「じゃ、おれはこれで…お幸せに!」
女「ま、待って!」
男「ん?なんだい?」
女「その…あの……す、好きだ。つ、付き合って、ください…!」
男「……はぇ?」
女「アナタの。温かい表情は、私がつらかった時の支えでした。
アナタの、優しい博愛精神は、私にとってのあこがれでした。
あなたが褒めてくれたおかげで…私は、この絵描きという仕事に誇りを持って挑めました
今の私がいるのは、あなたのおかげです……お願いします。一緒にいてください。一緒に…」
男「……まいったな…自分で書いた恋文で、告白されるなんて…」
女「…ごめん。私、こんな性格だから、こうでもしないと、素直に、なれないんだ」
男「……悪いけど、ゴメン」
女「…そ、そっか…」
男「俺の恋文での、告白はさすがに受け付けられない……
君の、へたくそな文章で、伝えてほしい。それが無理なら…
君には、絵という素晴らしい表現方法があるだろう?それで、伝えてほしい
…だから、今日は俺は何も聞かなかった」
女「う、うん!絶対、描く。貴方への想いを、絵にする、してみせる!そして、その紹介文で、貴方に!」
男「ああ、待ってるよ。」
~fin~
役決め表
・男 :
・女 :
あらすじ:散歩中に絵描きの女性に出会った文字書きの男性。彼は、絵描きの女性にある頼ま れごとをされて…?
・男:いつもふにゃりとした表情をした文字書き。無類のネコ好き。
・女:イラストレーター。固い口調で喋るクール系
登場人物
作者:ミスターアット
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