(雪が降りしきる夜のアパート。激しく扉を叩く女)
女「けーんーいーちー!開けなさい!三秒以内に!」
男「おいおい、近所迷惑だ。叫ぶのはやーめーろ」
女「貴方が扉を開けるまでずっと叫んでやるわ」
男「ほら、もう開いてるだろ。さ、入れよ。外は雪降ってて寒いし、鼻先、赤くなってるぜ?」
女「その寒い外に彼女を放りだしてた、冷たい彼氏は誰よ」
男「お前が来るって知ってたら、カギは開けてたさ」
女「さ、温かい飲み物を出しなさい。でも、安っぽいお茶は嫌よ」
男「わかったわかった。でも、いきなり来て何のようだ?」
女「何の用か…ですって?自分の胸に手を当てて、よく考えてみなさい!」
男「ほら、カリカリするなって。ホットミルクを入れたから、飲めよ」
女「何よ、ホットミルクなんかで私の気を落ち着かせようなんて、百年早いわ……まあ、飲むけど」
男「で、胸に手を当てて考えてみたが、全く分からん。もう一度聞くが、何の用だ?」
女「あー。温まる……でも、心の中はブリザード中よ。
あんたってば、最近彼女である私に、冷たすぎるんじゃないの?」
男「そうか?」
女「そうよ!確かに私はちょっと普通の女の子よりも強気だけど、女の子なんだよ?
恋する乙女なんだよ?そんな私に惚れられているのは、とっても光栄なんだよ?」
男「ははは、確かにな」
女「それだってのに、あんたは同僚の朝子さんだっけ?彼女とよくお散歩してるって話じゃない!」
男「外回りだ。仕事だよ」
女「しかも、幼馴染の柊ちゃんだっけ?彼女とお泊りデート……ふざけるのもたいがいにしなさい!」
男「旅行に来てた幼馴染とその家族が、不慣れな都会で迷子にならないよう、ホテルまで送っただけだ」
女「だいたい……あんたは、まあ…顔だけは悪くないから、色んな女が寄ってくるの、自覚してる?」
男「いや、そんなイケメンか?俺」
女「悪くない顔立ちだって言ってるの!……まあ、私好みなのは、否定しないけど…(欠伸)…」
男「それは光栄だな。しかし、お前が俺を褒めるなんて、珍しいな」
女「まあ……私だって、たまにはあんたの事、褒めてあげるわよ。ただ、不安なのよ。
自分がめんどくさい女だって事くらい自覚してる。だから、私の事、あなたが見捨てないか…
もっといい人の所に、行っちゃうんじゃないかって…(大きな欠伸)…なんだか、眠く……」
男「ばーか。いつもの底抜けな元気さはどうした。お前ほどめんどくさい女、離してたまるかよ。
……っていうかお前、目の下のクマがひでぇぞ。ちゃんと寝てるのか?」
女「あ、当たり前よ。美容には、気を使ってるの……って、なんだか、本気で眠たく…」
男「ははは、そのホットミルクには、ちょっとしたおまじないがかけてあるんだ。
お前の荒れている心が静まりますようにってね。眠いなら寝ていいぜ?」
女「やだ……寝たく、ない。まだ、あんたに…いいたい…こと……話したい事……」(寝始める)
男「……寝たか。まったく、可愛いんだから。最近よく寝られてないんだろ。
だから、軽い睡眠薬でもすぐに眠っちまう…お前が寝てるから言えるけど、
めんどくさくても…俺の事、こんなに好きになってくれる女は、他にはいないよ。
ものすごく、嬉しいんだ。不器用ながらも好意を寄せてくれる姿が。
ツンツンしてるのも、大好きなことの裏返しなんだよな。
そして、俺が、会社の同僚にとられたり、幼馴染とくっついたりするかもしれないのが不安なんだよな。
大丈夫、お前の事、大好きなんだ。眠れないほどに、不安がる必要なんてないよ。
だから安心して、ゆっくりお休み」
~~翌日~~
女「(欠伸)…よく寝た…って、何で私、寝ちゃってたわけ?まだあいつに言いたいこと、たくさんあるのに!
ホットミルクに何か入れたんじゃないの?まさか、寝ている私に何かするつもりで……
って、何も、されてない……それはそれで……むかつく!」
役決め表
・男 :
・女 :
あらすじ:寒い夜、いきなり彼女が部屋に押し掛けてきた!そして大声がマンションに響く…「あーけーなーさーい!」
・男:名前【ケンイチ】リンナの彼氏。けっこう顔がよく、もてるため、りんなは気が気でない…が、ケンイチはリンナひと筋だったりする
・女:名前【リンナ】超ツンデレの不安症。最近よく寝られていない。
登場人物
作者:ミスターアット
ツンツン彼女とホットミルク