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男 『女なんて寂しがりな生き物だ。誰かに認めて欲しくて、誰かに慰めて欲しくて、誰かに愛して欲しくて…馬鹿だよな』

女 「私ってさ、何も出来なくて、怒られてばっかで、頑張ってるけど…仕事向いてないのかな」

男 『認めて欲しいんだろ。慰めて欲しいんだろ。頑張ってるって褒めて欲しいんだろ』

女 「絶対裏で辞めてしまえって影口を言ってる。私のこと邪魔だって言ってる」

男 『こいつは被害妄想が激しい』

女 「もう、どうしたら良いのか分からないよ…」

男 「大丈夫だよ。お前が頑張ってるのは俺が一番分かってるから。今は辛いかもだけど、大丈夫」

女 「ほんとに?」

男 「うん。最初はどうしても上手くいかないもんだよ。けど、段々仕事が出来るようになるからさ」

女 「…うん。頑張る」

男 「頑張らなくて良いんだよ。自分のペースで良いんだ。焦らなくても、大丈夫」

女 「うん!自分のペースで頑張る」

男 「おう、よしよし」

女 「えへへ」

男 『女は簡単に落ちる。恋愛はゲームだ。攻略出来ればゲーム終了』

 
女 『男は単純な生き物。甘えれば頼りにされてる、必要にされてるなんて思って、調子に乗っちゃう。ほんと馬鹿だよね』

男 「そうだ、映画のチケットを貰ったんだけど、今度行かない?」

女 『なんの映画だろ…興味ない映画だったら気を悪くさせないよう断ろ』

男 「今ヒットしてる【犬の恩返し】って映画なんだけどさ、犬好きだっただろ?」

女 『犬なんて正直そこまで好きじゃない。けど、動物好きの女の子って印象良いでしょ?』

男 「来週の土曜とかどう?」

女 「いいよ!私が犬好きなの覚えててくれて嬉しい」

男 「当たり前だろ?お前の好きなの嫌いなのは全部覚えてる」

女 「ほんと大好き」

男 「俺も大好きだよ」

女 「これからも、好きでいてね?」

男 「当たり前だろ?」

女 『男を転がすことなんて簡単。恋愛は遊び。飽きたら、バイバイ。』


 SE:着信音

男 「あ、ちょっとごめん」

女 「うん」

男 「…もしもし?」

女2『もしもし?今…何してる?』

男 「どうした?」

女2『会いたい…』

男 「…分かった。今から行く」

女2『早く来て』

 SE:不通音

女 「…誰だったの?」

男 「友達。ちょっと呼ばれたから、行ってくるわ」

女 「えー行くの?」

男 「また来るから」

女 「分かった。おやすみなさい」

男 「うん。おやすみ」

女 「…今何してるかな」

 SE:呼び出し音

男2『はい』

女 「あ、もしもし?」

男2『どうした?』

女 「暇なら、家来ない?」

男2『…分かった行く。コンビに寄ってから行くけど、なんかいるか?』

女 「アイスー」

男2『分かった』

女 「うん。待ってる」

 SE:不通音


──☆

女2『いつからだろうか。自傷行為をすると落ち着くようになったのは。いつの間にか痛みが心を落ち着かせてくれるようになった』

 SE:チャイム音

 SE:開く音

男 「…また、やったのか」

女2「ごめんなさい」

男 「…早く手当しよ」

女2「ありがとう」

 SE:閉まる音

男 「ほら、手首ちゃんと見せて」

女2「…いつもありがとう」

男 「大丈夫だよ」

女2「…いつもごめんなさい」

男 「気にするな。痛いのはお前なんだし」

女2「…うん」

男 「なんか嫌な事あったのか?」

女2『彼はとっても優しい人。私の傷を見て心を痛めてくれるの。顔を真っ青にしながら、平然を装う姿には愛おしさを感じるの』

男 「いつも言ってるだろ。切るぐらいなら俺を頼れって」

女2『こんな私を捨てない素敵な王子様』

男 「…俺、どうしたら良いのか分からないよ」

女2「ぎゅってして…強く抱きしめて」

男 「…こんなんで良いのか?」

女2「うん。…ねぇ、私を捨てないで」

男 「捨てるわけ無いだろ」

女2「…甘い香水のにおいがする。女と居たの?」

男 「え…」

女2「私がいるのに、女と居たの!?私を捨てるの!?…あぁ…あぁ…!!」

男 「違う!違うんだ!これ、親の香水の匂いなんだ!だから、自分を傷つけるのをやめてくれ…」

女2「親?」

男 「お、俺、実家だろ?親の香水が強くてさ…」

女2「…」

男 「不安にさせてごめん」

女2「ううん。良かった」

男 「大丈夫だよ」

女2「ありがとう。大好き」

男 「俺も大好きだよ」

女2『私を捨てさせない。だって私の王子様だもん。彼のために私は切るの。彼のあの顔が見たいから』


──☆

男2『幼馴染が居るというと、大抵嫉妬される。よく聞かれるのは、付き合わないのか。付き合ったことないのか。恋愛感情は無いのか』

女 「んーアイス美味しい!」

男2『全ての幼馴染に言えるかは分からないが、僕は持っている。昔からずっと一緒に居て、ずっと見てきてる。誰よりも彼女を知っている』

女 「アイスはやっぱ抹茶だよね!抹茶が一番!!」

男2『好きにならない訳がない。けど、僕のことを幼馴染としか見てないのは分かってる。男の代わりでしかないのは分かってる』

女 「ねぇ、イチゴミルク美味しい?」

男2『けど、良いんだ。傍に居れるなら』

女 「一口頂戴」

男2「ん。…今日彼氏来てたんだろ?」

女 「友達に呼ばれたんだってー。友達思いだから」

男2「そっか。戻ってこないのか?」

女 「うん。戻ってこない」

男2「…そっか」

女 「まぁ課題とかが忙しいんだと思う」

男2『誰しも好きな人を目の前にして、自分を抑え続けるのって大変だと思う。いつも妄想の中でキスして、それ以上のことをしてる相手が隣にいるのだ。押し倒せば妄想が現実になる。いつも、思うんだ。襲ってしまえば、僕のものになるんじゃないかって』

女 「あー…あっつー」

男2「おいおい、幼馴染とはいえ、男の前で脱ぎだすなよ」

女 「暑いんだもん」

男2『好きな子が服を脱いでてムラムラしない男が居るだろうか』

女 「うん?どうした?」

男2『彼氏にだけ見せる表情が見たい、彼氏だけが聞ける声が聞きたい』

女 「そんな見つめて、エッチ」

男2『あぁ…本当にずるい』


──☆

男 『恋愛はゲームだと思ってる俺が本気で好きになった彼女。本当のゲームは攻略後にあった』

女2「ねね!今日ね、お外で散歩したの!!」

男 『彼女はリストカットをする。愛が重たくて、支えれる気がしなくて…俺が浮気してるのを知ったら、彼女はどうするだろうか』

女2「暑かったから、スーパー行ってアイス買ったの。ねぇ、聞いてる?」

男 「…なぁ…もし、俺が別れようって言ったら」

女2「え?私と別れたいの?私のこと嫌いになったの?飽きたの?やっぱり、女が出来たの?私を捨てるの?」

男 「いや、もし、もしだから」

女2「死んでやる。この世から消えてやる」

男 『俺の一言で彼女は死んでしまう』

女2「貴方のためなら命なんて簡単に捨てられるの」

男 「ごめん。もう言わない」

女2「うん。言わないで」

男 『俺は一生この彼女と共に歩まなくてはいけない。逃れれることのない束縛。俺は彼女を生かし、他の女と恋をする』


──☆

女 『幼馴染というと、みんな少女漫画の幼馴染の関係を思い浮かべる。片思い?両想い?カップル?そもそも、恋愛対象に入らない』

男2「そう言えば、僕のお母さんが久しぶりにご飯食べに来いって言ってたぞ」

女 『彼が私のことを幼馴染じゃなくて女だと見てるのは知ってる。けど、ごめんね。幼馴染の関係から変わることはない。けど、頑張って理性を保とうとする姿が可愛くてつい、遊んじゃう。目を逸らしちゃって、私を見て、ね?』

男2「…暑いな。お茶貰うぞ」

女 「だめ」

男2「なんで?」

女 「なんとなく」

男2「…くっつくな。暑い」

女 「んー…」

男2「…彼氏となんかあったのか?」

女 「…どうだろうね」

男2「……俺じゃダメなのか」

女 「え?…んっ(キスされる)」

女 『あはは。やっと、見てくれた。やっと手を出してくれた。幼馴染以上恋人未満の関係ってドキドキしない?』


──☆

男 「今日は帰るよ」

女2『愛しい愛しい王子様。私を一人にするの?』

男 「明日は家族で出かけるんだ」

女2『今日はお月様が出てなくて、外は真っ暗なの』

男 「家族と出かけることってあんまりないからさ」

女2『寂しいから、怖いから、苦しいから、辛いから、電話したのにもう帰るなんて』

男 「だから、今日は帰るよ。良い?」

女2『そんなの許さない』

男 「また明日の夜来るから」

女2「だめ。帰っちゃだめなの」

男 「え…けど、明日」

女2「だめなの!!朝帰ればいいでしょ」

男 「俺が朝弱いのは知ってるだろ?」

女2「夜は一人になりたくなの…いつも言ってるでしょ?」

男 「明日ちゃんと来るから。約束」

女2「なんで私を一人にしようとするの?なんで行っちゃうの?帰らないでって言ってるのになんでなの?なんで?なんで?嫌だよ嫌。嫌!!嫌!!」

男 「…ごめん。分かった、分かったから。ごめん。ごめんって」

女2「行かないで…行かないで?」

男 「分かった分かった。居る。ちゃんと居るから」

女2「良かった。良かった」

男 「…時間が時間だから、もう寝よう」

女2『王子様はお姫様と居ないとだめなの。それがお決まりなの。貴方は私の王子様で私は貴方のお姫様なんだから』


──☆

男2『ずっと我慢してきた。でも、だめだった。けど、僕なら幸せに出来る。寂しい思いなんてさせない』

女 「今、何考えてるの?ちゃんと私だけを見て?」

男2『理性は崩壊。ずっと我慢してた、ずっと望んでいた。僕で彼女をいっぱいにしたい、いや、いっぱいにするんだ』

女 「そんな優しくしないで~もっと乱暴にしていいんだよ?」

男2『僕を煽ってくる。彼氏しか見れない表情、彼氏しか聞けない声。彼氏にもそういう事言ってるのか?』

女 「もっと、もっと、感じさせて?」

男2『妄想が現実になった幸福感。彼氏持ちの幼馴染を抱いてる罪悪感。複雑な気持ちが混ざりに混ざって、気持ちはハイになる。』

女 「好き。好き。大好き」

男2「僕も好きだ。大好きだ」

女 「うん」

男2『この夢がずっと覚めないで欲しい』

 

 

男 『女なんて寂しがりな生き物だ』


女 『男は単純な生き物』


男2『あぁ…本当にずるい』


女2『私を捨てさせない』

​END

 

役決め表

・男 :
・女 :
・男2:
・女2:

あらすじ:「女なんて寂しがりな生き物だ」「男は単純な生き物」「あぁ…本当にずるい」「私を捨てさせない」4人の一夜の恋愛事情

・男 【21】女2の彼氏。彼女がいるが、女遊びをしている。女に彼女の存在を秘密にし、浮気をしている 

・女 【20】男の彼女。彼氏がいないときは幼馴染で寂しさを紛らわせている。男に彼女がいる事は知らない

・男2【20】女の幼馴染。女に片思いをしている。彼氏の代わりだと分かっていて、女の傍にいる

・女2【19】男の彼女。自傷行為癖持ちでわがまま。いつでも死ねる覚悟を持っている。浮気なんて許さない

登場人物

​作者:銀狼

報われない恋愛事情

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