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怪異達はヒーローになりたい

​作者:銀狼

登場人物

あらすじ:都市伝説に出れくる怪異達がヒーローになるため──

 

<ある部屋の一室>


SE:着信音

口裂け「もしもし?」 

メリー『私、メリーさん。今あなたの玄関の前にいるの』

口裂け「鍵閉めてないから、入っていいよ」

メリー『私、メリーさん。今あなたの玄関を開けたの』

口裂け「真っ直ぐ来たらリビングあるから」

メリー『私、メリーさん。お邪魔するの』

口裂け「あいよ」

メリー『私メリーさん。電話切るの』

SE:不通音

口裂け「メリーちゃん、いらっしゃい」

メリー「相変わらず綺麗なの」

口裂け「綺麗にしておかないと、落ち着かないからね」

メリー「今日は誰が来るの?」

口裂け「隙間ちゃんと、くね君と、首なしよ」

メリー「久しぶりのメンバーなの!」

口裂け「そうね。けど、話したいことあるから集まって…って」

メリー「くねくねは何を考えてるのか、分からないの」

口裂け「そうね」

メリー「彼氏は出来たの?」

口裂け「出来てない。やっぱ、誰もこの口じゃ愛してくれないわ」

メリー「首なしは駄目なの?」

口裂け「なんで首なしがここで出てくるのよ」

メリー「お似合いだと思うの」

口裂け「どこがよ!?」

首なし「邪魔するぞ」

メリー「噂すると何ちゃらなの」

口裂け「首なし、いらっしゃい」

首なし「…おう。今日も綺麗だな」

口裂け「メリーちゃんにも言われたわ。むしろ、どんだけ二人の家は散らかってるのよ」

メリー「そういう意味の綺麗じゃないの(ボソッ」

首なし「そんな鈍感な所が可愛い」

口裂け「二人とも何飲みたい?なんでもある訳じゃないけど」

メリー「ホットミルクが良いの」

首なし「コーヒーをお願いしたい」

口裂け「隙間ちゃんは?」

隙間女「…お茶でお願いします」

メリー「いつから隙間に居たの…?」

首なし「久しぶりだな、隙間女。隙間から出てきて座らないのか?」

隙間女「隙間が一番落ち着くんです。ですが…失礼致します」

メリー「いつもさ、隙間から出てくるの…すごいと思うの」

首なし「まぁ、あんな狭い隙間に潜んでる事自体が凄いからな」

隙間女「お恥ずかしいので、あまり見ないで下さい」

口裂け「はい、ミルクにコーヒーにお茶ね」

メリー「ありがとうなの」

口裂け「首なしはブラックで良かったよね?」

首なし「覚えててくれたのか…ありがとう」

口裂け「お茶は家にあった麦茶だけど、良かった?」

隙間女「ありがとうございます」

口裂け「…くね君が集めておいて、遅いわね」

メリー「いつものことなの」

隙間女「口裂け女さんは彼氏出来ました?」

口裂け「残念ながら出来てないよ」

隙間女「首なしライダーさんがいらっしゃるじゃないですか」

首なし「え、あ…」

口裂け「メリーちゃんと同じことを言うわね」

隙間女「お似合いだと思いますよ?」

首なし「そそそそそそそう思うか?」

口裂け「どこがお似合いなのよ」

隙間女「イケメンだし良いんじゃないですか?」

口裂け「顔ないからイケメン以前の問題よね?」

首なし「顔が無いのがいけないのか…」

くねく「くねくねくねくね」

メリー「やっと来たの」

くねく「みんなもう来てたんだね、くねくね」

口裂け「まったく、遅いわよ」

くねく「ごめん、くねくね」

隙間女「くねくねさんは相変わらず、くねくねしてらっしゃるんですね」

くねく「痩せるよ?くねくね」

隙間女「くねくねお師匠」

口裂け「痩せれば、彼氏が…!」

メリー「また適当なことを言ってるの」

くねく「くねくねがダイエットに良いって広めようと頑張ってるんだ、くねくね」

首なし「それで、今日はどうしたんだ?」

くねく「えっとね…なんだっけ?くねくね」

口裂け「忘れたの?」

くねく「くねくねくねくね」

隙間女「くねくねくねくね」

メリー「思い出すまで待つの」

首なし「俺の顔、どこに落ちてるんだ…」

口裂け「鏡よ鏡、私って美しいかしら?えぇ!とってもスリムで美しいです。まぁ鏡ったら」

くねく「くねくね、あ!思い出した!くねくね」

隙間女「痩せそうです。くねくね」

くねく「ヒーローになりたい!くねくね」

首なし「ヒーロー?」

口裂け「え、私綺麗?」

メリー「私メリーさん」

隙間女「隙間に入りたい」

くねく「ヒーローになろ!くねくね」

口裂け「ヒーローって人間助けて、人間に感謝されるあれよね?」

首なし「俺、空なんて飛べないぞ?」

メリー「私はピンクがいいの!」

隙間女「ダークヒーローでしょうか」

首なし「しかし、なんでヒーローなんだ?」

くねく「最近、怖がられないし、知名度下がってきたからさ。くねくね」

メリー「確かに…昨日、電話した人怖かったの。荒い息でパンツ何色って…」

口裂け「あー分かる。私、綺麗?ってマスク取ると、怖がられるより凄い特殊メイクだって…」

隙間女「たまたま、お邪魔した家の独身男性様と、お付き合いすることになりました」

口裂け「え?」

くねく「くね?」

首なし「ほうぉ」

メリー「わー」

隙間女「えへへ」

口裂け「顔なのね。やっぱ顔なのね。こんな口じゃ誰も愛してくれないのね!?」

首なし「俺は好きだが…」

くねく「なんか、僕たち人間に馴染んできたよね。くねくね」

メリー「はぁ…くねくねが珍しく正しいこと言ってるの」

くねく「だから、敢えてヒーローになったら楽しそうだなって。くねくね」

口裂け「ヒーローになったら彼氏できるかな…」

隙間女「あの方にもっと愛してもらえるのでしょうか」

メリー「ロリコン…排除するの!!」

首なし「俺のかっこいい姿を見せるチャンスか」

くねく「決まりだね?くねくね」

メリー「けど、ヒーローになるってなにするの?」

くねく「指名手配犯を捕まえる?くねくね」

口裂け「指名手配犯って捕まらないから指名手配犯になってるんでしょ?私たちに捕まえれる?」

隙間女「難しいと思います」

首なし「もっと軽いのからにしないか?」

くねく「えー!指名手配犯の一人、見つけてきたよ?くねくね」

口裂け「準備の良さ…」

メリー「そんな簡単に見つけれるのなら、なんで人間たちは捕まえきれないの」

隙間女「人間はお馬鹿さんなんですよ」

首なし「俺ら元は人間だけどな」

口裂け「でも、どうやって捕まえるのよ?指名手配犯ってことは相当なことやってるでしょ」

くねく「通り魔だったよね?あれ?くねくね」

メリー「通り魔が指名手配犯って珍しいの」

首なし「どうやって捕まえるんだ?」

くねく「運に任かせる?くねくね」

隙間女「私、運ないですが大丈夫ですか?」

メリー「なんとかなるの」

くねく「なるもんだよ!くねくね」

口裂け「いや、ならないから!」

首なし「なるんじゃないか?」

口裂け「首なしまで…」

くねく「決まりだね!くねくね」

口裂け「でも、運ってどうするの」

くねく「口裂けちゃん、よろしくね?くねくね」

メリー「頑張るの」

首なし「頑張れ…もしもの時は助けるから」

隙間女「ご無事で」

 


<ボロアパートの一室>

 

通り魔「このままじゃ警察から逃げきねぇ。外国に逃亡するか…」

SE:チャイム音

通り魔「こんな時間に誰だ…警察か?最悪殺すか…」

SE:チャイム音

通り魔「……女?」

口裂け「いらっしゃらないのかしら」

SE:ドアの開き音

通り魔「誰だ」

口裂け「ねぇ…私、綺麗?」

通り魔「あぁ?…お、お前…」

口裂け「ねぇ?綺麗?」

通り魔「う、うわぁぁぁぁ」

口裂け「みんな私の顔を見て叫ぶの。ねぇ貴方の口良いわね」

通り魔「ふ、ふざけるな…」

口裂け「その口…頂戴」

通り魔「ふざけた口しやがって…死ねぇぇぇぇ」

首なし「女性に刃物で切り付けるなど、よろしくないな」

通り魔「うわぁぁぁ!!く、首が!!首がない!!化け物!!」

首なし「俺の首しらないか?」

通り魔「うわ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

口裂け「逃げた。どうする?」

首なし「他の奴らに任せれば良いさ」

 


通り魔「はぁはぁ…」

SE:着信音

通り魔「あぁ?ポケットにケータイなんか入れてたか?……もしもし」

メリー『私、メリーさん。今あなたを追ってるの』

通り魔「もう!なんなんだよ!!」

メリー『私、メリーさん。今あなたの後ろ姿が見えたの』

SE:足音

通り魔「あぁ!?」

メリー『私、メリーさん。今あなたの後ろにいるの』

通り魔「後ろ?」

メリー「私、メリーさん」

通り魔「ガキか」

メリー「…ガキ。ガキ言われたの!!殺すの!!」

通り魔「うわぁ!?何するんだ!!」

メリー「許さないの!!」

通り魔「はなっせっ」

メリー「っ!!痛いの…」

通り魔「さっきから何なんだよ!!」

くねく「よろしくないね。くねくね」

通り魔「あぁ!?」

くねく「一緒にくねくねしよ。くねくね」

通り魔「うわ!?か、体が…勝手にくねくねする!!止まらね!!どうなってんだ!!」

くねく「永遠にくねくねし続けるの楽しそうだよね。くねくね」

通り魔「助けてくれ!!誰か!!助けてくれー!!」

 

 

口裂けM『その後、私達は指名手配犯を捕まえたヒーローとして一躍有名になったが、数日で元の生活に戻ってしまった』


メリー「私、メリーさん。おじさんパンツの色気になるの?教えてあげないの。教えて欲しければ、しっかりお願いするの」


口裂けM『あの日以来、メリーちゃんは強くなった。良かったのか悪かったのか分からないけど…』


隙間女「平和が一番ですね」


口裂けM『貴女、あの日どこに居たのかな?さり気なく居なかった隙間女には、しっかり反省をしてもらった』


くねく「さぁ、全身を使ってくねくね~くねくね~」


口裂けM『くねくねは、くねくねダンスが世の女性達に受け、講師を務めてる』


首なし「なぁ…俺と付き合わないか?」

口裂け「はぁ!?……考えとく」

首なし「そ、そうか…」

口裂け「かっこよかったわよ」

首なし「えっ」


口裂けM『返事は焦らしに焦らし、今幸せな日々を送っている─』

 

 


─END─
 

・メリーさん   ♀【不明】:永遠のロリっ子。一番まとも
・口裂け女    ♀【不明】:恋人欲しい乙女。だが、鈍感
・隙間女     ♀【不明】:居座った家の独身男性と絶賛恋愛中。めっちゃ美人
・くねくね    ♂【不明】:くねくねダンスを世に広めようとしてる。不思議君(くねくねして下さい←
・首なしライダー ♂【不明】:現在進行で片思い中。首から上がないのに喋ってる
・通り魔     ♂【不明】:逃亡中の通り魔  セリフ(少)

【表記】
メリーさん   →メリー
口裂け女    →口裂け 
隙間女     →隙間女
くねくね    →くねく
首なしライダー →首なし
通り魔     →通り魔

メリーさん  :
口裂け女   : 
隙間女    :
くねくね   :
首なしライダー:
通り魔    :

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